おもい


13,香魂女

 自分自身、お金で買われて嫁に来た香嫂。彼女は理解の無い夫に苦労しながらも、質の良いごま油を作って、かなり成功をしている。しかし彼女の息子は障害をもっており、小さな田舎の町では嫁の来手など、望むべくもなかった。
 そこで彼女はお金に物を言わせて、働き者で気だての良い娘を嫁に貰う。しかし、彼女は自分が強いられた苦労を嫁にも押しつけた事を悟り、深く後悔する。

 改革解放が叫ばれ、現代化の波が押し寄せる現在の中国にあっても、未だに農村部では古い因習が根強く残っているようです。経済成長がめざましく、巨大な市場となりつつある事は確かですが、その影には様々な矛盾や問題が有ることも、忘れてはいけないのではないでしょうか。
 香魂というのは、映画の舞台となる村の湖名です。美しい湖の風景が、より一層、主人公の心の寂しさを際だたせているように思いました。主役の香嫂役は、「天国逆子」で母親役をしていた人です。




14,熱帯魚

 主人公のツージァンは、高校受験を控えた極普通の中学生。しかし、ふとしたことから誘拐事件に巻き込まれ、彼自身が誘拐されてしまう。しかし、誘拐の首謀者が事故死したため、従犯のアケンは困り果て、台湾の南方にある彼の実家へツージァンを連れていき、身代金を要求する。だが、ツージァン自身はここで思わぬ休暇を得ることになる。

 全体的には、割とコミカルな仕上がりになっていて、それだけでも楽しめると思います。特に受験戦争にきりきり舞いする主人公の両親の姿は、日本のそれと重なって面白いです。
 一人の少年が、10日足らずの休暇の中で、自分が全く知らなかった世界をかいま見、少しだけ成長するその姿が、とても自然に描かれていて、好感がもてる映画でした。




15,紅夢

 1920年代頃の中国北方が舞台。主人公の頌蓮は父親の死で大学を中退し、富豪の家へ第4夫人として嫁がされることになる。しかし、その家は古い因習に縛られ、妻たちは人間性を無視され、一人の夫を巡って影で凄まじい争いを繰り広げている。その中で、頌蓮は苦しみながらも、次第にその争いに自ら参加するようになり、結局自分を失っていく。

 映画のシーンは、ほとんど富豪の家の内部だけに終始しています。又、妻たちの夫は、最後までその影しか出てきません。このような映像が、彼女たちの置かれた閉鎖的な状況や、その心理状態を理解しやすい物にしているような気がします。
 この映画のテーマは因習に対する反発、かと思いますが、それだけでなく、追いつめられていく人間の心理が良く描かれていて、興味深かったです。


 
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